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ぱんせどフランセ

思いつくまま、たまに仕事のことなども。

福祉の現場に生きる人たちへのインタビューをもとに書いた
ルポルタージュ「日々を織る」も連載しています。
囲いを打ち破る。Vol.9 |「日々を織る」
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    ☆「日々を織る」福祉の現場に生きる人たちのルポルタージュ☆

     

    Person 2  北井陽子さん

     

    囲いを打ち破る。

     

     人というものを好きになれる仕事

     人と関わろうと決めて

     福祉の世界へと導いた一冊の本

     理想と現実のギャップ

     理想への第一歩、スタッフと思いを共有する

     保護者の胸の内

     信頼を育てる

     一緒にゆっくり歩むという支援の姿

     垣根の存在

     内と外、二重の垣根

    ⅺ ひとつの出会い、垣根を破る突端

    ⅻ 子どもたちと利用者たちとの出会い

    xiii 垣根のない子どもの心

    xiv 地域の中へと、垣根のない道を  

     

     

     

    障害者ができるかぎり地域と繋がって暮らしていく。

    家庭と施設の外の世界、

    より多様な場で人と関わって生きていく。

    「たんぽぽの家」は授産施設ではあるが

    賃金を得るために仕事をするためだけの場ではなく、

    他の人たちと一緒に働くという経験を通じて

    地域社会と繋がっていく機会そのものだ。

     

    休憩時間の散歩や施設見学の受けいれ

    イベントでの地域の人たちとの交流と、

    様々な形で、いろいろな人と触れ合う機会を

    積極的に設けている。

    そして北井さんは、その交流の中で

    地域との垣根を感じ取り、それを打ち破る道を探り続ける。

    では、まず、そこに、どんな垣根があったのか。

     

    北井さんが「たんぽぽの家」で仕事を始めて間もなく

    地域の小学校から、施設見学の申し込みがあった。

    明日、そちらに見学に行きたいということだった。

     

    「今日、電話をかけてきて、明日見学をと言うのがねえ、

     その時、失礼だなとは思ったんです。

     もし、うちが一般企業だったら

     地域にある他の会社だったら

     そんな申し込みの仕方をするだろうかと。

     今日電話して、明日行きますなんて、

     当然、承諾するだろうという調子でね。

     他の会社にだったら、まず、受け入れが可能かとか、

     都合のいい日程とか、そういうのを訊ねるところから

     始まると思うんですけどねえ」

     

    小学生が施設を見学に行くのは、

    障害者理解のための教育だ。

    協力して当然だろう。

    電話口から聞こえてくる声に

    そういう腹の底が見え隠れした。

    けど、そんなことに引っかかっているよりも

    子ども達と障害者が触れ合う機会を優先しようと受けいれた。

     

    そして、翌日、見学に来た子ども達は

    物珍しさに興奮したのか、施設の中を駆け回った。

    なかでも勢いのいい2、3人の子どもは、

    重度障害者が横たわって作業をしている

    折りたたみ式のサマーベッド(ボンボンベッド)に

    上ってピョンピョン飛び跳ねはじめた。

    作業所の中を走り回るだけでも十分に仕事の邪魔だ。

    ましてや、椅子に座っての作業が厳しいからと

    体を横たえて手を動かしているベッドの上で

    飛び跳ねられたら、仕事ができるはずもない。

     

    よしんば仕事中でなくても、

    たとえばプールサイドのサマーベッドで

    寛いでいる見知らぬ人がいたとする。

    自分が引率している児童が、そのベッドに上って

    飛び跳ねはじめたら教師はどうしただろう。

    急いで注意をして詫び、

    子どもにもごめんなさいと言わせるだろう。

     

    けどその時、引率してきた教師は

    ひと言の注意もせずに子ども達を好きにさせていた。

    これが一般企業なら、と北井さんはまた思った。

    きっと教師は、仕事の邪魔をしないよう、

    迷惑をかけないようにと

    前もって子ども達に言い聞かせておき

    当日、見学現場でも、きちんと指導するだろう。

     

    何故か。

    障害者の授産施設がれっきとした職場であるという

    認識がなかったからではないだろうか。

    もし、自分が授業をしている教室で

    誰かがこんな行いをしたら、いったいどうしていただろう。

    どう考えても理不尽だ。

     

    「その一件があって、施設見学の申し入れをいただいても

     どこか、こちらを見下げていると感じるところがあれば

     お断りするようにしました」

     

    その後、また別の教師との出会いで

    北井さんは子どもの可能性の素晴らしさに触れ、

    施設見学受け容れに積極的になった。

     

    「拒絶するよりも、施設見学の前に

     先生方に留意していただきたい点を伝えるなど

     コミュニケーションを図りさえすれば

     子ども達の経験の機会を届けられると

     固くなってしまった頭をほぐすことができました」

     

    この、北井さんの心をほぐした出会いの話はまた後ほど。

    障害者を取り囲む隔たりを垣間みるエピソードを

    もう少し、話そうと思う。

     

     

                           次回  内と外、二重の垣根

     

     

    協力:社会福祉法人 産經新聞厚生文化事業団

     

    hihi wo oru

     

     

    JUGEMテーマ:社会福祉

    | ☆ルポルタージュ「日々を織る」 | 07:56 | comments(0) | trackbacks(0) |